自分で投稿を続けるのがしんどくなって、代行の値段を調べ始めた。検索したら月20万円、月30万円と出てきて手が止まった。
この記事は、そこで止まっている人向けです。書くのは3つ。その金額が誰向けなのか。見積書を投稿1本の単価に割り戻す方法。そして、今は代行に出さない方がいい場合。
当社もInstagram運用のメニューを持っています。月額をいくらに設定したか、その計算過程もそのまま書きます。
検索して出てくる「月20万〜50万円」は、誰向けの金額か
先に、金額の前提を外しておきます。
上位に出る記事は、ほぼ法人のマーケティング担当者向け
「Instagram 運用代行 費用」で検索して上位に出る記事は、株式会社ONEの比較記事、NTT東日本のコラム、グロップのアウトソーシングプロなど、発注元として法人を想定したものです。
そこに載っている月20万〜50万円という帯は、マーケティング予算を持っている企業向けの価格です。1店舗の美容室や整体院が同じ土俵に乗る必要はありません。
個人店の予算帯(月3万〜10万円台)を扱った記事は、検索結果にほとんど出てきません。だから「無理だ」と感じるのですが、それは自分の店が小さいからではなく、読んでいる記事が別の読者に向けて書かれているからです。
公的な統計は存在しない。「相場」は各社の体感値
調べてみて分かったことを、正直に書きます。
Instagram運用代行の費用について、公的機関が実施した調査は見当たりません。国や業界団体が価格を調べて公表している、という類のものは存在しません。
各社の記事に載っている数字は、その会社が受注している価格や、周囲を見て書いた目安です。複数のサイトに似た数字が並ぶので相場のように見えますが、元をたどれる調査はありません。
なので、この記事でも「相場は◯円です」とは書きません。以下は、どの記事の何という記述かを書いた上で並べます。
| 項目 | 金額 | どこに書かれていたか |
|---|---|---|
| 月額(代行会社) | 20〜30万円 | グロップ「アウトソーシングプロ」 |
| 月額(個人に依頼) | 5〜10万円 | 同上 |
| 初期費用 | 10〜30万円 | 同上 |
| クリエイティブ制作 1本 | 3,000〜50,000円 | 同上 |
| 広告運用 | 広告費の20% | 同上 |
| 一部業務のみ依頼 | 月10万〜20万円未満 | NTT東日本「Nにおまかせ!」 |
| まとめて依頼 | 月20万〜50万円未満 | 同上 |
| 効果を最大化する依頼 | 月50万円〜 | 同上 |
注目してほしいのは、1本あたりの単価を出しているのがグロップの1行だけで、しかも3,000円から50,000円まで16倍の幅があることです。 これでは何の判断もできません。
そして、3本のどれにも「撮影が含まれるかどうか」の説明がありません。 グロップにもNTT東日本にも、株式会社ONEの比較記事にも、撮影費の扱いは書かれていませんでした。後で書くとおり、ここが金額を最も左右する項目です。
「相場を確認する」という作業は、ここで終わりです。続きは、手元の見積書を見る作業になります。
金額を決めているのは「本数」と「撮影の有無」の2つ
価格帯の一覧を覚えても判定はできません。変数を2つ押さえれば、どの見積書でも読めます。
投稿1本あたりの単価に割り戻す
やることは割り算1つです。
月額 ÷ 月に投稿する本数 = 投稿1本あたりの単価
| 例 | 月額 | 月の投稿本数 | 1本あたり |
|---|---|---|---|
| A社 | 100,000円 | 20本 | 5,000円 |
| B社 | 50,000円 | 8本 | 6,250円 |
| C社 | 30,000円 | 4本 | 7,500円 |
この数字にすると、会社をまたいで比較できます。 月額だけを見ていると「A社10万円は高い」と思いますが、1本あたりで見るとA社が最も安い。本数を確かめずに月額で比べると、判断を間違えます。
見積書に月の投稿本数が書かれていない場合は、判定できません。 その場で聞いてください。本数を書かない見積書は、そもそも比較されることを想定していません。
撮影が入るかどうかで、金額は倍近く変わる
安い提案には、たいてい理由があります。多くの場合、撮影が入っていません。
写真や動画を撮りに来る作業は、移動時間を含めて半日仕事です。これを月額に含めると、月8本の投稿でも金額は跳ね上がります。だから格安の帯は、ほぼ例外なく「素材はお客様からご提供ください」という前提で組まれています。
それ自体は悪いことではありません。 スマートフォンで撮った写真でも十分な業種はあります。問題は、そう書いてあるのに読み飛ばして契約することです。
「素材はご提供ください」の意味
この一行の意味を、実務の側から書きます。
素材提供の契約にすると、毎月こういう作業が店側に残ります。
- 投稿に使う写真を撮る(施術後、料理を出す前など、営業中に)
- 撮った中から使えるものを選ぶ
- 代行会社に送る
- 「この写真だと暗いので撮り直しをお願いします」に対応する
代行に出したのに、手はまったく空きません。 投稿を作る作業は減りますが、写真を用意する作業は残ります。そして、多くの人が続かなくなるのは写真を撮る方です。
実際、この読み違いで「代行に頼んだのに投稿が止まった」という状態になった例を見ています。代行会社の落ち度ではなく、契約範囲の理解のずれです。
契約前に、この一点を確認してください。「写真は誰が、いつ、何枚撮りますか」
当社が月額50,000円という値を付けたときの計算
ここからは自社の話です。受注する側が自分の計算を書くのは損なのですが、これを見ないと見積書は判定できません。
当社のInstagram運用は、初期10,000円・月額50,000円(税別)です。月額に含むのはフィード投稿 月8本、ストーリーズ 月4本、コメントとDMの一次対応、月次レポート。撮影は含みません。
クリエイティブ1本5,000円で計算しても、月8本で40,000円
値付けをするとき、こう計算しました。
投稿1本を作る費用は、グロップの記事で3,000〜50,000円という幅で示されていました。この幅の上の方は撮影や動画を含む仕事だと考えられるので、素材をお預かりして作る場合の値として5,000円を採って計算します。
5,000円 × 月8本 = 40,000円これに、ストーリーズ4本、コメントとDMへの返信、月次のレポートが乗ります。作業時間は月8時間と見積もりました。
50,000円 ÷ 8時間 = 時給6,250円。当社の他のメニュー(ホームページ、Googleマップ)も時給6,000円前後で揃うように作業範囲を決めているので、ここで揃います。
だから「月30,000円で全部やります」は成立しない
同じ計算を月30,000円でやってみます。
30,000円 ÷ 8本 = 1本あたり3,750円投稿を作る費用を5,000円と置いたので、この時点で足りません。撮影やレポートを乗せる余地はありません。
当社の計算では、月30,000円でフィード投稿8本は原価割れします。他社を批判したいわけではなく、自分で計算したらそうなった、という話です。
月30,000円台の提案を見たときは、次のどれかだと考えて、どれなのかを確認してください。
- 投稿本数が少ない(月4本など)
- 素材(写真・文章)を全部こちらで用意する前提になっている
- 投稿の内容が定型で、店ごとの作り込みがない
どれも悪いことではありません。それで納得できるかどうかだけです。
撮影を月額に含めない理由
当社が撮影を月額に含めていないのは、含めた瞬間に時給が半分になるからです。
撮影は、移動して、店の営業の合間に撮って、選んで、補正する。1回で半日近くかかります。これを月額5万円の中に入れると、月8時間の想定が月16時間になります。時給は3,000円台に落ちます。
だから撮影は都度見積(1回30,000円〜が目安)にして、素材は店舗様にご用意いただく形にしました。この線を引かないと、続けられません。 続けられない契約を結ぶのは、店にとっても損です。
料金と対応範囲は料金ページに全部載せています。含むものと含まないものを、契約前に読める状態にしてあります。
見積書を受け取ったら確認する5項目
金額の話が済んだら、条件を見ます。この5つは、口頭ではなく書面で答えてもらってください。
① 月額に投稿が何本含まれるか
本数の記載がない見積書は、判定できません。 フィード投稿とストーリーズは別で数えます。「月◯本以上」なのか「月◯本まで」なのかも確認してください。
② 撮影は含まれるか、別料金か
含まれない場合、写真は誰がいつ用意するのか。含まれる場合、月何回来るのか。ここが金額を最も左右します。
③ アカウントの名義と管理権限は誰が持つか
アカウントは店の名義で作り、店側が管理権限(パスワード)を持ってください。
代行会社の管理下にあるアカウントで運用すると、契約が終わったときに困ります。これはホームページのドメインや、Googleビジネスプロフィールのオーナー権限と同じ話です。当社は、Googleビジネスプロフィールのオーナー権限は必ずお客様が持つ形以外では受けていません。Instagramも同じ考え方です。
④ 解約時に投稿データとアカウントはどうなるか
積み上げた投稿は店の資産です。解約したら消えるのか、そのまま残るのか。契約書に書いてもらってください。
当社は解約時にドメインもデータもお返しします。業界の慣行としては珍しい方だと思いますが、店の資産を人質にして契約を続けさせるのは筋が違うと考えています。
⑤ 最低契約期間は何ヶ月か
Instagramは成果が出るまで時間がかかるため、最低契約期間が設定されていることが普通です。株式会社ONEの比較記事にも、こう書かれています。
ほとんどの運用代行企業は最低利用期間(6ヵ月程度)を設けています
株式会社ONE
この5項目のうち、3本の比較記事が触れていたのはここだけでした。 本数・撮影・アカウントの名義・解約時の扱いは、どれにも書かれていません。
当社の最低契約期間は12ヶ月です。問題は期間の長さではなく、それを知らずに契約することです。
月5万円×12ヶ月=60万円。この総額を見てから判断してください。
Instagram運用代行を、今はまだ頼まなくていい場合
自社の商品を後回しにさせる話を書きます。
Googleで店名を検索して、情報が古いままなら先にそちらを直す
お客さんが店を探す入口は、業種によって違います。
飲食店、美容室、整体院のように「大津市 ランチ」「草津 美容室」で探される業種は、入口がGoogleマップです。ここで営業時間が違っていたり、写真が3枚しかなかったりする状態でInstagramに月5万円を払うのは、順番が違います。
そして、Googleビジネスプロフィールの整備にGoogleへ払う費用は0円です。写真を10枚以上入れて、営業時間を正確にして、カテゴリを正しく選ぶ。それだけで見え方は変わります。
当社でも、Instagramはホームページとマップの整備が終わってから提案するメニューとして扱っています。
まず自分の店の名前で検索してみてください。そこで何かおかしければ、こちらが先です。→ Googleマップに自分の店が出てこないときに確認すること
月5万円を払うなら、月いくら売上が増えれば元が取れるか
もう1つ、契約前に出しておく数字があります。
客単価5,000円の美容室が、月50,000円の代行費用を払うとします。粗利率を仮に50%とすれば、50,000円の粗利を出すのに必要な売上は100,000円。客単価5,000円なら、月20人の新規客です。
週に5人。これを妥当と見るか、厳しいと見るか。業種と客単価によって答えは変わります。自分の店の数字で一度計算してください。
計算してみて「これは厳しい」と思ったら、今は頼まなくていいということです。自分で月4本投稿する方が、はるかに費用対効果が高い場合があります。
まとめ
検討しているサービスの月額を、含まれる投稿本数で割ってみてください。1本あたりの単価が出れば、他社と並べて比較できます。
そのうえで、まだGoogleマップの情報が古いままなら、そちらを先に直してください。Instagramは、そのあとでも遅くありません。
参考にした比較記事
以下はいずれも各社が公表している目安であり、公的な調査ではありません。本文は2026年8月31日に確認しています。
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