朝、店を開ける前にスマートフォンを見たら星1が付いていた。返信の文面を検索している。たぶん、そういう状況で読まれています。
この記事では、返信を書く前に、そのクチコミが削除の対象になるかを判定する手順から始めます。順番が逆になっている記事が多いのですが、消せるものに時間をかけて返信を書くのは無駄ですし、消せないものを消そうとして数日を溶かすのはもっと無駄です。
書いてある内容は、すべてGoogleビジネスプロフィールの公式ヘルプに基づいています。記事の最後に出典を並べました。
返信する前に、消せるかどうかを確かめる
まず、そのクチコミがGoogleのポリシーに違反しているかを見ます。ここで結論が出ると、やることが変わります。
削除の対象になるのは、ポリシー違反の投稿だけ
Googleは、報告できる範囲と削除される範囲は別だとはっきり書いています。
どのクチコミでも報告できますが、削除の対象となるのは Google のポリシーに違反している クチコミのみです
Google ビジネス プロフィール ヘルプ「不適切なクチコミを報告する」
削除の対象になる代表的なものは、次のような投稿です。
- 実体験に基づいていない投稿(来ていない人が書いている)
- 対価を受け取って書かれた投稿
- 利益相反にあたる投稿。Googleは「現在または過去の雇用関係、契約関係や顧問関係……
- 他人になりすました投稿
- 個人情報や、他人を中傷する内容を含む投稿
心当たりがあるなら、報告してください。特に「辞めた従業員が書いた」「同じ商店街の同業が書いた」は、多くの店が泣き寝入りしていますが、ポリシー上は削除対象です。
消えないのは「実際に来た人の、正直な低評価」
厳しいことを書きます。実際に来店した人が、本当に感じたことを書いた低評価は、消えません。
Googleはこう書いています。
内容に不満がある、気に入らないという理由だけで、クチコミを報告することはしないでください。 Google は、事業者とユーザー間の紛争には関与しません
同「不適切なクチコミを報告する」
「事実と違う」と感じても、それが体験した本人の受け取り方である限り、Googleは介入しません。ここを納得しないまま報告を繰り返すと、何日も消耗します。消えないと分かった時点で、返信を書く作業に切り替えてください。
報告して却下されたあと、再審査請求は1回だけ
報告したクチコミが削除されなかった場合、再審査を求められます。ただし1回限りです。クチコミ管理ツールから送信し、一度に10件まで選べます。
送信後のステータスは3種類(判定待ち/審査完了・ポリシー違反なし/エスカレーション済み)で、Googleは「クチコミの評価には通常数日かかります」としています。
「削除申請は2回できる」と書いている記事がありますが、正確には最初の報告が1回、そのあとの再審査請求が1回限りです。この1回を無駄にしないよう、どのポリシーに違反しているのかを言葉にしてから送ってください。
法的な対応を考える段階になったら、そこからは弁護士の領分です。この記事では扱いません。
Googleは「すべてに返信しなくていい」と書いている
返信の記事はほぼ例外なく「すべてのクチコミに返信しましょう」と書いています。Googleの公式ヘルプは、そう書いていません。
公式の原文
返信はそれぞれ、1 人だけでなく大勢の顧客に届くため、すべてのクチコミに対して 感謝の意を公開する必要はありません
Google ビジネス プロフィール ヘルプ「クチコミを増やすためのヒント」
ワンオペや少人数の店で、届いたクチコミ全部に返信を書くのは現実的ではありません。Googleがそれを求めていないのだから、全部に返さないことを後ろめたく思う必要はありません。
「24時間以内に返信」はGoogleが決めた数字ではない
「24時間以内」「遅くとも72時間以内」という数字をよく見かけますが、Googleの公式ヘルプにこの数字はありません。 どこかの記事が書いたものが、引用され続けているだけです。
公式が書いているのは「速やかに」という程度です。営業しながら数日かかったとしても、それで評価が下がるという根拠はありません。
返信の読者は、投稿者ではなくこれから来る人
さきほどの公式の一文に、この記事でいちばん大事なことが入っています。「1人だけでなく大勢の顧客に届く」。
星1を付けた人の気持ちを変えようとして返信を書くと、たいてい長くなり、言い訳が混ざります。そしてその返信は、これから来店を検討している人が読みます。
実際、感情的な返信を公開してしまった店を見たことがあります。クチコミ本文よりも、その返信のほうが読まれていました。星1のクチコミより、それに反論する返信のほうが店の印象を悪くします。
だから返信は、投稿者に向けて書くのではありません。その2つを並べて読む、まだ来ていない人に向けて書きます。 これが分かると、書く内容が変わります。
なお、返信は「企業からの返信」として表示され、書いた人の個人名は出ません。公開までには審査があり、Googleは「通常、返信の審査の所要時間は 10 分以内ですが、最長で 30 日ほどかかる場合もあります」としています。
返信の型と例文
返信するには、Googleビジネスプロフィールのオーナー確認が終わっている必要があります。まだの場合は、そこからです。
Googleは返信について「簡潔に」と書き、「長すぎる返信は読む気をなくす可能性があります」と補足しています。以下の例文は、いずれも短くしてあります。
高評価への返信
「ご来店ありがとうございました」だけで終わらせない方法があります。Googleは「一度訪れただけではわからない情報を知らせます」と書いています。逆に「お得な情報やプロモーションを提示する必要はありません」とも書いています。
ご来店ありがとうございました。ご注文いただいた定食の煮物は、朝に炊いたものを その日のうちに出しています。日によって内容が変わりますので、また違う日にも お立ち寄りください。(店主・田中)
ありがとうございます。平日の11時台は比較的お待たせせずにご案内できます。 次にお越しの際はご参考になさってください。
Googleは「返信に名前またはイニシャルを添えると、返信の信頼性を高めることができます」と書いています。署名は1行足すだけなので、入れてください。
低評価への返信
低評価への返信で守ることは4つあります。いずれも公式ヘルプに書かれています。
- 投稿者の個人情報を書かない
- 個人的な攻撃をしない
- 記録を確認してから書く
- 自分たちに非がないことについては、責任を負わない
4番目は意外に思われるかもしれません。原文はこうです。
自分たちに非がないことについては、責任を負うことを避け、現時点で対応できることと 対応できないことを説明しましょう
つまり、Googleは謝りすぎを推奨していません。
ご不便をおかけしました。土曜の夕方は席のご案内までお待たせすることが多く、 現状では待ち時間を短くする対応ができておりません。お急ぎの場合はお電話で 状況をお伝えできますので、事前にご連絡ください。(店主・田中)
貴重なご意見をありがとうございます。ご指摘の点は担当と共有し、盛り付けの手順を 見直しました。
事実と違うことを書かれたとき
いちばん難しく、いちばん失敗が多い場面です。否定から入らないでください。Googleは、詳しい話は公開の場ではなく直接やり取りするよう勧めています。
投稿ありがとうございます。ご記載の対応について、こちらの記録では確認ができておりません。 状況を確かめたいので、お手数ですがお電話(077-XXX-XXXX)でご連絡いただけますでしょうか。 (店主・田中)
「そのような事実はありません」と書きたくなりますが、読んでいるのは第三者です。どちらが正しいかは分かりません。淡々と、確認できていないことと、連絡先だけを書きます。
星だけでコメントがない投稿
コメントがない星だけの投稿には、返信しなくても構いません。書くことがないためです。
どうしても返す場合は一言で終わらせてください。無理に理由を推測して「何かご不便がございましたでしょうか」と書くと、詮索しているように読まれます。
書いてはいけない返信
例文を集めた記事はたくさんありますが、失敗のほうが実害は大きいので、そちらを書きます。
謝りすぎる
「このたびは誠に申し訳ございませんでした。深く反省しております。二度とこのようなことがないよう……」という定型で埋めた返信は、読んだ人に「この店は本当に何かやったのだろう」という印象を残します。
さきほど引用したとおり、Googleは非がないことまで責任を負わないよう書いています。謝罪は、実際に非があった部分だけに限ってください。
投稿者の来店日や個人情報を書く
「先週の土曜日にお越しの方ですね」「3名でお越しいただいた」といった書き方は、投稿者の個人情報を公開しています。 Googleは明確に禁じています。
クチコミ投稿者の個人情報を公開したり、個人的に攻撃したりしないでください
本人を特定できる情報は、たとえ事実でも書かないでください。
公開してから後悔したら、直せる
感情のまま返信してしまった場合でも、返信は後から編集も削除もできます。公式ヘルプに手順があります。管理画面のクチコミ一覧から、該当の返信を選んで編集します。
ただし、返信を公開すると投稿者に通知が届きます。そして投稿者は、返信を読んだあとでクチコミの内容を変更できます。 攻撃的な返信をすると、クチコミが書き足されて悪化することがあります。消せば元通り、とはいきません。
夜に書いた返信は、翌朝に読み返してから公開してください。 これがいちばん効きます。
クチコミを増やしたいときにやってはいけないこと
返信の次に考えるのは、たいてい「良いクチコミを増やしたい」です。ここで違反行為に踏み込む店が多いので、線を書いておきます。
見返りを条件にした依頼は禁止されている
Googleの原文です。
クチコミの投稿、クチコミの変更、否定的なクチコミの削除と引き換えに、無料または 割引価格で商品やサービスを提供するといったインセンティブを顧客に提供することは、 虚偽のエンゲージメントと見なされ、固く禁じられています
「口コミを書いてくれたらドリンク1杯サービス」は、これに当たります。
満足していそうな人にだけ声をかけるのも違反
ここを知らない方が多いのですが、明確に禁止されています。
顧客からの否定的なクチコミの投稿を妨げたり禁止したり、肯定的なクチコミを選択的に 募ったりする行為
Google マップ ユーザー投稿コンテンツのポリシー「禁止または制限されているコンテンツ」
満足していそうなお客さんにだけQRコードを渡す、というやり方です。悪意なくやっている店がたくさんありますが、Googleのポリシー上は違反です。
同じ項目で、「その場で評価を残したりクチコミを書いたりすることを要求または強要する行為」と「一定数のクチコミを募るようスタッフに要求すること」も禁止されています。スタッフに件数のノルマを課すのも違反です。
許可されている頼み方
禁止事項だけ書いても困るので、認められている範囲を書きます。
インセンティブを提供したり、評価やクチコミの内容に影響を与えようとしたりせずに、 実体験に基づくコンテンツの投稿を募ったり促したりする行為
つまり、全員に、見返りなしで、内容を指定せずに頼むのは問題ありません。会計時に全員へ同じ案内をする、レシートにクチコミ用のリンクを印刷する、卓上にQRコードを置く。このあたりは大丈夫です。
当社はこの線を契約書に書いています。代行で口コミを操作することはしません。Googleのポリシー違反でプロフィールが停止されると、止まるのは店の集客だからです。1週間地図から消えるだけで、代行費用とは比べものにならない損失になります。
まとめ
書きかけの返信があるなら、いったん閉じてください。そのクチコミがポリシー違反に当たるかを先に見ます。
元従業員や同業が書いたもの、来ていない人が書いたものなら、報告してください。そうでなければ、消えません。返信を書く側に切り替えて、投稿者ではなく、これから来る人に向けて書いてください。
出典
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