商工会議所から補助金の案内が来た。ホームページを作りたいと思っていたので、使えるなら使いたい。
この記事は、小規模事業者持続化補助金(一般型・通常枠)第20回の公募要領を読んで、ホームページに関係する部分だけを抜き出したものです。数字はすべて第20回 公募要領 第8版の原文によります。
先に書いておくと、当社のような1万円のホームページに補助金を使う意味はほとんどありません。なぜそうなるのかを、順に説明します。公募回が変われば前提も変わるので、最新の情報は必ず公式で確認してください。
第20回で何が変わったか
検索して上位に出る記事は、補助金幹事が第13回、ソラボが第16回、比較ビズが第18回と、それぞれ古い公募回を根拠に書かれています。ウェブサイト関連費のルールはその後で変わっているので、古い記事を読むと前提を間違えます。
ウェブサイト関連費の上限は30万円(税込)
公募要領の原文はこうです。
③ウェブサイト関連費販路開拓等を行うためのウェブサイトやECサイト、システム(オフライン含む)等の開発、構築、更新、改修、運用をするために要する経費○当経費の補助金交付申請額の上限は 30 万円(税込)です。
第19回まではウェブサイト関連費に「補助金交付申請額の1/4まで」という上限がありました。第20回ではこれが撤廃され、代わりに30万円(税込)の定額上限になっています。
補助金全体の枠は、補助上限50万円、補助率2/3です(特例に該当すれば上乗せがあります)。
ウェブサイト関連費だけでは申請できない
同じ項目の続きに、こう書かれています。
○ウェブサイト関連費のみによる申請はできません。必ず、ほかの経費と一緒に申請してください。
ホームページを作るためだけの申請は通りません。チラシ、看板、機械、展示会出展といった他の経費と組み合わせる必要があります。
なお、広報費(チラシ・ポスター・インターネット広告など)にも同じ「のみによる申請はできません」という条件が付いています。ではウェブサイト関連費と広報費の2つだけの組み合わせで要件を満たすのかどうかは、公募要領に明示の記載を確認できませんでした。ここは事務局に確認してください。
いつ着手できるのか
ここが、いちばん見落とされる点です。
交付決定日より前の発注は対象外
補助の対象になる経費の条件は、3つ並んでいます。そのうちの2つ目です。
② 交付決定日以降に発生し補助事業期間中に支払が完了した経費
つまり、採択されただけでは足りません。交付決定通知が届いた日より前に発注したもの、支払ったものは対象外です。
そして交付決定までには時間がかかります。公募要領の注記にこうあります。
交付決定には、採択後、詳細な見積書が速やかに提出された場合でも、採択発表から概ね 1〜2 か月かかる場合があります
第20回のスケジュール
| 日付 | |
|---|---|
| 事業支援計画書(様式4)発行の受付締切 | 2026年12月4日(金) |
| 申請受付開始 | 2026年11月5日(木) |
| 申請受付締切 | 2026年12月15日(火)17:00 |
| 補助事業実施期間 | 交付決定日から2028年3月31日(金)まで |
申請の締切が12月中旬。そこから採択発表があり、さらに交付決定まで1〜2か月。逆算すると、ホームページに着手できるのは早くても春先です。
今すぐホームページが必要な店には、この待ち時間が成立しません。オープンに間に合わせたい、繁忙期の前に出したい、という事情があるなら、補助金を待つという選択肢は最初から外れます。
補助金は、支払いが終わって実績報告を出した後に入ってくる後払いの仕組みです。制作費は一度、全額を自分で払います。入金までの日数は公募要領に記載がないので、ここでは書きません。
月額のサービスは対象になるのか
月額制のホームページサービスを検討している人が、いちばん知りたいところだと思います。検索して出てくる記事で、ここに答えているものは見つかりませんでした。
公募要領に、関係する記載が2か所あります。
○契約期間が補助事業期間を越えるソフトウェア使用権を購入する場合は、按分等の方式により算出された補助事業期間分のみ補助対象となります。
対象外の例としては、こう書かれています。
既に導入しているソフトウェアの更新料
読み取れるのは2つです。すでに使っているサービスの月額を、これから補助対象にするのは難しい。そして、期間が補助事業期間をはみ出す契約は、はみ出した分が落ちる。
ただし、月額型のホームページサービスがこの条項にそのまま当てはまるのかどうかは、公募要領の文面だけでは決められません。ここは事務局に確認してください。当社の判断で「対象になります」と書くわけにはいかない部分です。
金額から逆算する
ここからは当社にとって不利な話になります。
10,000円のホームページに補助金を使うか
しがみせのWebページは、初期費用10,000円(税別)、月額3,000円(税別)です。
初期費用に補助率2/3をかけると、戻ってくるのはおよそ6,600円です。
この6,600円を受け取るためにやることは、経営計画書と補助事業計画書を書き、商工会議所または商工会で様式4を発行してもらい、電子申請システムで申請し、採択を待ち、交付決定を待ち、支払いを済ませ、実績報告書と経理書類を提出する。採択される保証はありません。
割に合いません。当社の金額なら、補助金を使わずに今すぐ作った方がいい、というのが正直な答えです。
補助金が効くのはどういう場合か
とはいえ、補助金そのものが無意味というわけではありません。当社の商品の金額規模に限った話です。
ウェブサイト関連費の上限は30万円(税込)です。この枠が効くのは、こういう場合です。
- 予約システムや在庫連動が必要で、制作費が数十万円かかる
- ネットショップを立ち上げる
- チラシや看板の刷新と同時にホームページも作り直す(他の経費と組み合わせやすい)
- 展示会に出展し、その前にサイトを整える
つまり、もともと数十万円の投資を予定している店です。そういう店にとっては、30万円の枠は大きい。
自分の店がどちらなのかは、必要なページ数から逆算できます。店のホームページは1ページで足りるかに判断の材料を書きました。相場全体は店舗のホームページ制作費用の相場と、見積書の判定のしかたにあります。
もう1つ。申請代行を業者に頼んだ場合、その手数料は補助対象になりません。成功報酬として補助金の10〜20%を請求する業者がいますが、それは自腹です。逆算するときは、この分も引いてください。
様式4は商工会議所・商工会でしか出せない
最後に、締切について。
申請には事業支援計画書(様式4)が必要です。これを発行できるのは、地元の商工会議所または商工会だけです。
そして、様式4の受付締切は申請本体より早い。第20回では、申請締切が12月15日なのに対し、様式4の発行受付締切は12月4日です。公募要領には、こう明記されています。
事業支援計画書(様式4)について、受付締切以降の発行依頼は、いかなる理由があってもできません。
11日分の差があります。ここを知らずに12月10日に相談に行くと、間に合いません。
しかも、様式4は行けばすぐもらえるものではありません。経営計画の内容を見てもらったうえで発行されます。地区ごとに運用と混み具合が違うので、締切の何週間前に行けばいいかは、地元に聞くしかありません。早めに動いてください。
滋賀県内なら、商工会議所の管轄地域か商工会の管轄地域かで、申請先の事務局も変わります。どちらかは地元に確認してください。
まとめ
地元の商工会議所か商工会に電話して、様式4の相談枠を押さえてください。制度の細かい部分は、その場で聞いた方が早い。
そのうえで、自分の店が数十万円の投資をする側なのか、数万円で足りる側なのかを決めてください。後者なら、補助金を待たずに始めた方が半年早く動けます。
この記事は第20回の公募要領に基づいています。公募回が変わると前提が変わるので、最新の情報は商工会議所地区の事務局サイトで確認してください。個別の採否は事務局と商工会議所の判断によります。
