3か月後に店を閉めることにした。不動産、仕入れ先、保健所、税務署。手続きが山ほどあって、ネットのことまで頭が回らない。全部消してしまえば済むと思っている。

この記事は、閉店のときにネットに残る店の情報を、媒体ごとに「消す」「閉業にする」「残す」に振り分けて、最終営業日から逆算した順番に並べるためのものです。

先に結論を書きます。Googleマップは消さずに閉業にします。ドメインは、閉店後も数年持っておきます。この2つ以外は、店主の考えで決めてかまいません。

消す・閉業にする・残す、を媒体ごとに決める

閉店時の片付けを扱った記事を探すと、ほとんどがGoogleビジネスプロフィールの削除の手順です。サングローブの解説は、削除と閉業の違いを表で比べていて分かりやすい。ただ、ホームページ、ドメイン、SNSには触れていません。

店のネットの情報は、だいたい次の7つです。

媒体勧める扱いいつ
Googleビジネスプロフィール閉業にする(削除しない)最終営業日の翌日
ホームページ「閉店しました」の1ページに替える最終営業日の翌日
ドメイン(店のURL)閉店後も数年更新を続ける更新期限の前
ドメインのメールアドレス何に登録しているか洗い出す1か月前まで
Instagramお知らせを投稿して、残すか消すかを決める最終営業日
LINE公式アカウント最後の配信をしてから止める最終営業日の前後
予約サイト・グルメサイト掲載を止める連絡をする1か月前(解約の締め日による)

予約サイトは、解約の連絡に締め日がある場合が多く、閉店日の直前に連絡すると翌月分の料金がかかります。契約書か管理画面で、解約の締め日だけ先に確かめてください。

Googleマップは削除せず「閉業」にする

Googleビジネスプロフィールを削除しても、Googleマップから店が消えるとは限りません。管理する人がいなくなっただけで、店の情報は地図に残ることがあります。そうなると、他人が営業時間を書き換えても、誰も直せません。

閉業にすれば、店のページに「閉業」と表示されます。 検索した人は、閉まった店に足を運ばずに済みます。口コミも残ります。20年分の口コミは、店の歴史として読めるものです。

手順は管理画面の「ビジネス情報」から、営業時間の欄で「閉業」を選ぶだけです。最終営業日の翌日に行います。

閉業ではなく、しばらく休んで再開する予定なら「臨時休業」です。この2つの使い分けはGoogleマップの営業時間。入力欄を1つ間違えると直らないに書きました。

ドメインは、閉店後も数年持っておく

ここが、閉店のときに一番見落とされます。

手放したドメインは、他人が取れる

ドメインは、更新をやめると一定期間のあとに誰でも取れる状態になります。取った人は、そのURLで何でも作れます。

実際に、2026年5月に宮崎県が、運用を終えたサイトのドメイン2つを第三者に取られていたと公表しました。2022年3月と2023年12月に運用を終えたもので、県は「県とは無関係なので、アクセスしないように」と呼びかけています。県は対策として、運用を止めた旧ドメインを一定期間持っておくよう庁内に周知しました。

県ですら起きることです。店のドメインも同じです。閉店した店のURLで、知らない通販サイトや詐欺まがいのページが開く。古いチラシや雑誌の記事、ブログからのリンクを踏んだ人は、それを店のサイトだと思います。

そのドメインのメールで、何にログインしているか

もっと危ないのはメールです。

info@店のドメイン のようなアドレスで、Instagram、Googleのアカウント、予約サイト、キャッシュレス決済の管理画面に登録していることがあります。ドメインを他人に取られると、そのアドレスでメールを受け取れるのは、取った人になります。パスワードを忘れたときの再設定メールが、他人に届くということです。

閉店の1か月前までに、そのアドレスで何に登録しているかを書き出してください。続けて使うものは、個人のメールアドレスに登録を替えます。

維持費と、持っておく期間

ドメインの維持費は、当社が仕入れている値段で、.com なら年に約2,000円、.jp なら年に約4,000円です。閉店後も数年持っておく費用としては、大きくありません。

何年持てばいいかに、決まった答えはありません。 宮崎県の例では、運用を終えてから2年半〜4年後に、第三者に取られていたことが公表されました(いつ取られたかは公表されていません)。古いチラシやショップカードがお客様の手元に残っていそうな間は持っておく、と考えて、この記事では3年を目安にします。統計に基づく数字ではありません。

当社は、解約のときにドメインとデータをお客様にお返しします。閉店も、解約の理由の1つです。お返ししたドメインを閉店後にどうするかまで決めておかないと、返した意味が半分になります。ドメインの権利の話はホームページを解約したら、ドメインは誰のものになるかにまとめています。

ホームページは1ページの「閉店しました」に替える

ドメインを持っている間、ホームページは消さずに、1ページだけにします。書くのは次のことです。

  • ◯年◯月◯日に閉店したこと
  • お礼の言葉
  • 予約していた人、商品券やポイントが残っている人への連絡先(期限を区切って)

連絡先には、個人の携帯電話番号ではなく、期限つきで受けられるメールアドレスか、郵送先を書きます。

最終営業日までに、お客様へ知らせる

LINEは最後の配信をしてから止める

LINE公式アカウントは、最終営業日の1か月前と1週間前に閉店のお知らせを配信します。ポイントカードやクーポンを出しているなら、使える最終日をここに書きます。

最後の配信を終えたら、管理画面からアカウントを削除できます。削除すると友だちへの配信もできなくなるので、商品券の期限が残っているなら、その期限まではアカウントを残してください。

Instagramは、消さずに残す選択もある

Instagramは、閉店のお知らせを投稿したあと、残すか消すかを決めます。

消す場合、Instagramは削除を申請してから30日たつと完全に消え、その間にログインすると取り消されます。表示だけ止めたいなら、一時停止という方法もあります。

残しておく店も少なくありません。 料理や店内の写真は、通ってくれたお客様の思い出にもなります。残すなら、プロフィールの1行目を「◯年◯月◯日に閉店しました。ありがとうございました」に替え、ログインできるメールアドレスを個人のものにしておきます。誰がログイン情報を持っているかは店のSNSアカウントを、スタッフや業者に任せるときで確かめ方を書きました。

片付けても残るもの

ここまでやっても、ネットから店の情報が全部消えるわけではありません。

地域の情報サイト、個人のブログ、グルメサイトの口コミ、何年も前の新聞社のウェブ記事。これらは店側から消せません。Googleマップの閉業の表示と、ホームページの「閉店しました」が、それらを読んだ人の行き着く先になります。だからこの2つは消さずに残します。

まとめ

今日やることは1つです。店のホームページのアドレスを紙に書き、そのドメインの更新期限がいつかを確かめてください。

自分で取ったなら登録した会社の管理画面に、業者に任せているなら契約書か請求書に書いてあります。期限が分かれば、閉店後に更新を続けるかどうかを落ち着いて決められます。

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出典